【2024年最新】設置型 放射温度計のおすすめ10機種を徹底比較!~仕様を理解して正しい機種を選定しよう!
放射温度計を使いたいと思っても、機種選定には様々な仕様があるため、どれを優先すれば良いのか分からないことがありますよね。また、実際に使ってみたら性能が期待通りではなかったという経験もあるかもしれません。
そこで、今回は放射温度計の機種選定のポイントやおすすめの機種をご紹介します!放射温度計の仕組みや特徴についても解説しますので、放射温度計について知りたい方は必見です!
目次
放射温度計とは
放射温度計とは、物体が放射する赤外線を測定し温度に換算する温度計です。接触式温度計と異なり、物体の温度と感温部が同一の温度になる必要がなく、非接触で測定が可能です。そのため耐久性に優れ、高温などの厳しい環境でも使用できます。さらに、測定対象物を傷つけたり、温度を乱したりすることがなく、応答速度も速いため移動体の温度も測定できます。
このような特長から、生産ラインなどでの制御やトレーサビリティに利用されます。
放射温度計の大きな分類(ハンディタイプと設置型)
放射温度計は、前述したとおり測定対象物に直接触れずに温度を測定できる便利な計測器です。大きく分けてハンディタイプと設置型の2種類があり、それぞれ異なる特長を持っています。
ハンディタイプの特長
・持ち運びが容易で、場所を選ばずに測定できる
・軽量コンパクトでシンプルなインターフェースが多く、片手で簡単に操作できる
・瞬時に温度測定ができるため、素早く状況を把握できる
・比較的安価なモデルが多い
設置型 放射温度計の特長
・連続的な温度測定ができるため長期的な温度変動の監視や分析に最適
・アナログ信号が出力されるためデータロガーなどと接続して温度データを記録・管理できる
・アラーム機能があるモデルもあり、生産設備の制御に使える
・人が立ち入れない高温雰囲気や危険な場所でも使用可能
ハンディタイプの放射温度計は、持ち運びが容易でさまざまな場所での測定に適しています。一方の設置型 放射温度計は連続的な温度測定に適しています。そのため管理・制御・トレーサビリティなどに活用されます。
用途や目的に合わせて、適切なタイプの放射温度計を選択することが重要です。
設置型 放射温度計の選び方
■タイプで選ぶ
設置型 放射温度計は主にセンサ部、アンプ部、レンズ部の3つの部品によって構成されています。そしてそれらが一体化されているタイプ、分離されているタイプなどあります。
1.一体型
センサ部、アンプ部、レンズ部が全て一つの筐体に収まっているタイプで、比較的安価で提供されていることが多いです。設置や取扱いが簡単なメリットがありますが、筐体がやや大きくなる傾向があります。
2.ファイバ型(レンズ分離式)
センサ部、アンプ部が一つの筐体に収まっており、レンズ部のみ光ファイバーケーブルによって分離されています。ヘッド部分を非常にコンパクトにすることができ、なおかつ耐熱性が高く、一般的には150℃程度の耐熱性があるため、人が近づけないような環境や狭い環境でも温度測定が可能です。 一方で、低温測定が苦手で、その多くは100℃以上からの測定になります。また、ファイバーケーブルの取扱いがやや難しかったり、価格が比較的高くなる傾向があります。
3.センサ分離式
センサ部とレンズ部が一体化しているタイプで、アンプ部は別の筐体になっているおり表示設定機能を一体化したものもあります。ヘッド部分は一体型よりもはるかにコンパクトで一部モデルでは180℃程度の耐熱性を実現したモデルもあります。 コンパクトゆえに照準光を搭載できないモデルも多いですが、一方でファイバ型(レンズ分離式)とは異なり、常温からの温度測定も可能で、一体型とファイバ型(レンズ分離式)の中間くらいの価格帯から安価なモデルまで幅広くあります。
■測定波長、用途別で選ぶ
放射温度計の重要なスペックの一つに「測定波長」があります。
これは検出する赤外線の波長を指し、測定波長によって測定できる用途が変わるため非常に重要です。 主に以下の測定波長があります。
1.汎用 8~14μm
主に0℃~500℃の低中温を測定する場合に非常に多く採用され、比較的安価ですが、応答速度が遅く、また金属を測定するのに向いていません。一体型やセンサ分離式などがあります。
※特殊仕様として、本質安全防爆タイプや耐熱温度が180℃のタイプもあります。
2.汎用 2~6.8μm
主に0℃~500℃の低中温を測定する場合に採用され、8~14μmタイプとは異なり応答速度が速く、金属の測定も可能です。現在のところ一体型のみです。
3.金属用 0.8~1.0μm、0.8~1.6μm、1.95~2.5μm
主に100℃~2000℃程度の中高温を測定する場合に採用され、金属測定が非常に得意で応答速度も速いです。高温測定がメインのため、耐熱性に優れたファイバ型(レンズ分離式)が充実していますが、比較的安価な一体型もあります。
4.2色温度計 0.99μm/0.78μm、1.65μm/1.4μmなど
2色温度計は、異なる2つの波長を用いて放射輝度の比を求め、正確な温度を測定する温度計です。視野掛けや窓材、水蒸気越しでも温度が減衰せず、悪環境下でも使用可能です。主に300℃~3300℃の中高温タイプの温度測定に使用され、一体型やファイバ型があります。
5.ガラス用 5.0~5.6μm
ガラスの吸収波長帯を測定することで極薄ガラスでも透過せずに安定した温度測定が可能です。
6.フィルム用 3.4μm
ポリオレフィン系フィルムの吸収波長帯3.4μmを測定波長にし高精度な温度測定を実現しています。
7.ランプ加熱用 5.0~6.8μm
ランプ加熱の影響を受けにくくしながらも金属測定を配慮した波長を採用。
8.炎越し用 3.9μm
炎の影響を受けにくくしワークのみの温度測定を可能にしました。バーナーろう付けなどに最適。
■測定距離/標的サイズ、照準方式で選ぶ
放射温度計は非接触で温度測定することが最大のメリットですから、ワークまでの距離は非常に重要です。ただ測定距離によって標的サイズは異なるため測定距離と標的サイズのちょうど良いものを選択する必要があります。
測定対象物に対して標的サイズがはみ出さないような測定距離/標的サイズを選択肢し、それを正しく位置合わせすることが非常に大事になります。
ベストな測定距離/標的サイズの仕様を選択しても、正確に位置合わせができなければ正しい温度測定はできません。放射温度計には位置合わせを容易にするために以下のような照準方式があります。
1.同光軸照準方式
温度測定範囲のほぼ全域を照射することができるため標的サイズの大きさが感覚的に分かりやすく位置合わせが非常に簡単です。
2.レーザ1点方式
標的サイズの中心付近のみ照射するタイプで見ただけでは標的サイズの大きさが分かりません。
3.レーザ2点方式
レンズ横からレーザを2点照射するタイプで、2点の間に標的サイズが入っていることになりますが規定の測定距離から外れると実際の標的サイズとの位置ズレがおきます。
4.光学照準(ファインダ方式)
カメラのように目で覗いて位置合わせをする方式で、レンズの中にレチクルという十字線もしくは同心円の線があり、これが基準位置となり位置合わせが非常に容易になります。
ただし高額になります。
5.CCDカメラ照準方式
ファインダタイプと同じような方式ですが、目で覗く代わりにCCDカメラを搭載してモニターに映し出す方式です。複数人で位置確認するときなどに有効です。
光学照準(ファインダ方式)よりも高額になります。
おすすめ機種10選
メーカー/特長 | 測定温度範囲 | 測定波長 | 照準方式 | タイプ | 応答速度 |
---|---|---|---|---|---|
ジャパンセンサー 汎用タイプ |
0~500℃ | 2.0~6.8μm | 同光軸照準方式 | 一体型 | 10msec~ |
A社 汎用 |
0~500℃ | 8.0~14.0μm | レーザ2点方式 | センサ分離式 | 15msec~ |
英CALEX社 耐熱180℃ |
-20~1000℃ | 8.0~14.0μm | なし | センサ分離式 | 240msec~ |
英CALEX社 耐熱180℃ 本質安全防爆 |
-20~1000℃ | 8.0~14.0μm | なし | センサ分離式 | 240msec~ |
ジャパンセンサー 低温金属用 |
50~600℃ | 1.95~2.6μm | 同光軸照準方式 | 一体型 | 1msec~ |
ジャパンセンサー 高温金属用 |
100~2000℃ | 0.8~1.0μm他 | 同光軸照準方式など | ファイバ型 | 100μsec/1msec~ |
独Sensortherm社 2色温度計 |
250~3300℃ | Channel1:1.65μm Channel2:1.45μm |
光学照準など | 一体型/ファイバ型 | 80μsec/1msec~ |
ジャパンセンサー ランプ加熱用 |
0~1200℃ | 5.0~6.8μm | 同光軸照準方式 | 一体型 | 10msec~ |
ジャパンセンサー ガラス用 |
50~2400℃ | 5.0~5.6μm | 同光軸照準方式 | 一体型 | 10msec/50msec~ |
ジャパンセンサー フィルム用 |
80~350℃ | 3.4μm | 同光軸照準方式 | 一体型 | 50msec~ |
まとめ
据え置き型放射温度計のおすすめをご紹介しました。
据え置き型放射温度計には様々なモデルがあります。最も重要なのは、どのような加熱方法で、何を測定し、どこに設置するのか、というポイントを絞ることです。これらのポイントを絞ることで、目的に合ったモデルを選択することができます。
しかし、仕様が多くて迷われる場合には、お問い合わせいただければお客様に寄り添った機種選定を行います。お困りの際にはぜひお問い合わせください。
この記事の執筆者
安藤 誠吾
計測器業界に20年以上携わり、放射温度計の販売に従事。
主に自動車関連企業の営業担当をし、現在は営業プロセスの確立と標準化に尽力している。
その他、販売促進やホームページなどの原稿作成も手掛けるなど幅広い業務に取り組み中。
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