第1回 ジャパンセンサー 開発者インタビュー
このコーナー「クローズアップ」ではジャパンセンサー自身やジャパンセンサー製品に関する話題を取りあげます。
当ウェブサイトをご覧のみなさまが、「 放射温度計の老舗 ジャパンセンサー 」をより身近に
感じていただけるような記事を掲載していく予定です。
第1回目の今回は、「 ジャパンセンサー 開発者インタビュー 」
ジャパンセンサーの開発責任者である保田技術2課長に話を伺います。
保田課長はサーモパイル素子を用いた放射温度計TMH90シリーズをまとめあげるなど、ジャパンセンサーの放射温度計のハードウエアとソフトウエア両面の開発エキスパートです。
現在は新発売の放射温度計TMHXシリーズ開発責任者として精力的にさまざまな用途の放射温度計製品の開発を行っています。ウェブサイト担当山本が保田課長に一門一答でインタビューしました。
[Q1]
早速ですが、現在開発中の放射温度計TMHXシリーズのアピールポイントを教えていただけますか?
[A1]
インジウムアンチモン検出素子の採用により、いままで不可能とされてきた常温の1mS応答が可能になりました。現在ではさらに開発をすすめ、0.1mSまで応答が可能なものもあります(TMHX-CU(H))。また、サーモパイルに比べて測定波長が短いため、放射率の低い鏡面状態を含む金属測定や石英越しの測定も可能となりました。
[Q2]
他にも特長がありますか?
[A2]
ジャパンセンサーの得意とする製品は固定位置で使用する据置型放射温度計です。工場など悪環境で使われることが多いため、堅牢性と防塵性能をアップしました。放射温度計 TMHXシリーズではほとんどの製品でIP67相当の防塵性能を持っています。またTMHXの筐体はすべてアルミ削り出しで作っていますので堅牢性に自信があります。
[Q3]
各製品のヨーロッパへの輸出に必要なCEマーキング適合にも力を入れていると聞きましたが?
[A3]
ジャパンセンサーの製品をヨーロッパで使用したいというお客様の要望があり、製品のCEマーキング適合化をはじめました。開発を進めるうちにCEマーキングでまとめられている規格は製品の安全性や信頼性を表すものなので、この規格への適合製品を作ることは日本国内のお客様にとってもメリットがあると考えるようになりました。具体的には、これまで電源や空中からの電磁ノイズに対する耐性が弱かった製品もCEマーキングに適合するための改良を行うことで、より信頼のおける製品に生まれ変わっています。今後開発を始める製品はCEマーキング適合を念頭に入れた開発が進められます。
[Q4]
開発上、難しかった点など実例がありましたらお願いします。
[A4]
ジャパンセンサーの放射温度計の特長の一つに表示器なしの温度計単体で動作が可能という点があります。放射温度計自身がRS232C出力、アナログ出力、アラーム出力を装備しているため別途、アンプ表示ユニットがなくても動作させることが可能です。今回はこのすべての機能を盛り込みつつ筐体を従来機よりさらに小さくするのに大変苦労しました。もちろん温度表示が必要な方にはワンタッチで接続可能な表示器TMHCX-ND、大画面で表示が遠くからでも確認できる高機能表示器TMHX-HAも用意しました。
また、いままではソフトウエア開発を外部に委託してましたが、今回はすべて自社で開発を行いました。温度計の動作を一から見直すのは時間がかかり大変でしたが、高速応答に対応させることができたので良かったと思います。さらに、RS-232C出力の通信プロトコルをModBusプロトコルに対応させました。RS-232C出力の通信ソフトを自社で開発されているお客様には、よりジャパンセンサーの放射温度計を導入しやすくなったと思います。
[Q5]
現在開発中のジャパンセンサー製品で公開できる情報がありましたらお願いします。
[A5]
TMHXシリーズは「非ファイバ型」の放射温度計です。現在、「ファイバ型」放射温度計FTKXシリーズの開発を行っております。ご好評のファイバ型放射温度計FTK9シリーズ同様の光学系バリエーションの多さを活かしつつTMHXの堅牢さを採り入れた製品になる予定です。ご期待ください。
次回、第2回は「放射率測定器 TSS-5X で 放射率 を測定してみた」の予定です。